眼はよく「カメラ」に例えられます。水晶体がカメラの「レンズ」で瞳孔が「絞り」、網膜は「フィルム」。どの機能が欠けてもきれいな写真は撮れませんが、こちらでは「フィルム」の役割の網膜について説明していきます。 目に入ってきた光は水晶体や硝子体を通して網膜で像を結びます。網膜の中心には黄斑部という部分があり、この部分で物を認識します。カメラのフィルムが破れていたり歪んでいるとどうなりますか?せっかくきれいな写真を撮っても台無しですよね。さらにはフィルム自体がないと…写真を撮ることさえできません。網膜は目で物を見るうえで最も重要な役割をします。
網膜の病気には様々なものがあります。その中で網膜剥離は皆さんも一度は名前を聞いたことがあるとは思います。その他にも糖尿病が原因の糖尿病網膜症や加齢が原因といわれる加齢黄斑変性症、網膜の上に一枚膜のできる網膜上膜など多くの病気があります。
「今は視力もいいし、網膜の病気とは無縁だ」とお思いではないでしょうか。例えば上に出てきた網膜剥離などはテレビでよくボクサーの方が罹患し、失明するなんてドラマや映画が放送されます。しかし網膜剥離の原因は実は以外にも身近にあります。 目の中にはゼリー状の硝子体という部分があります。この硝子体は加齢とともに少しずつ収縮していきますが、その際に網膜の一部を引っ張り網膜に小さな裂け目を作ることがあります。この裂け目を放置しておくと、そこから網膜とその下の層の間に少しずつ水分が入り込み、最終的には網膜がぺろりとはがれてしまうことがあります。 また、若い方で近視の度数が高い方などは目が奥に長い楕円形の形をしています。そのような眼は網膜も薄く引き伸ばされています。人より薄い分、目に衝撃が加わると網膜が破れやすくなります。 加齢黄斑変性症は加齢に伴い、誰にでも起こる可能性のある病気です。特に喫煙者、肥満、日光をよく浴びる人はなりやすいと言われています。もともと加齢黄斑変性症は欧米人に多かったのですが、近年日本人の生活習慣が欧米化するとともに患者数が増えており、現在では日本人の失明原因の第4位にもなっています。 このように網膜の病気は私たちの身近に存在します。
例えば転んでひざを擦りむくと痛みがありますよね。しかし網膜には痛覚がありませんので剥がれても痛みはありません。また、網膜が剥がれてもそれが黄斑部まで達さないと視野や視力にはほとんど影響はありません。 黄斑部のむくみについても初めはごくわずかな症状から始まります。 気が付いた時にはかなり症状が進行していて大きな治療が必要なケースもあります。 アレルギーやコンタクトレンズを使用している方以外はなかなか眼科検診を受けることは少ないと思いますが、定期的な健診と少しでもおかしいなと思ったら早めの受診をお勧めします。
現在、予備軍も入れれば糖尿病患者数は約2000万人、実に6人に一人は糖尿病の可能性があると言われています。 その糖尿病の合併症の一つに「糖尿病網膜症」があります。よく「糖尿病になると失明する」と言われますが、糖尿病患者の約2割から4割がこの糖尿病網膜症といわれ、日本人の失明原因の第二位でもあります。
糖尿病網膜症に伴って、黄斑がむくんだ状態を「糖尿病黄斑浮腫」といいます。 斑浮腫は網膜血管全体や毛細血管瘤から血液成分(水分やたんぱく、脂肪など)が漏れ出して、黄斑部にたまることで起こります。 黄斑部に血液成分が漏れ出すことで、見たい部分に視力障害をきたします。 初期の段階で治療を開始することが大切です。
糖尿病黄斑浮腫の治療には以下のものがあります。
当院では大きく分けて2種類の注射があります。 病変の状態や全身疾患の有無などを確認して患者様に合った注射を選択しています。
VEGFとは血管内皮細胞を増殖させる因子のことです。この物質の働きによって加齢黄斑変性の原因である脈絡膜の新生血管は活発に成長します。抗VEGF薬はこの新生血管の成長や血液成分の漏れを抑制します。
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