加齢黄斑変性症は、歳をとるとともに黄斑の働きに異常が起こり、人や物を見分けるのにとまどったり、文字が読みにくいなど視力が低下する疾患です。
網膜の中心部が悪くなるので、視野の中心のもっともよく見ようとするものが見えにくくなります。 病巣が黄斑に限られていれば、見えにくい部分は中心部だけですが、大きな出血がおこれば、さらに見えにくい範囲は広がります。
ものがゆがんで見えます。
ものがゆがんで見えます。見ているものの中心が欠けて見えません。
加齢黄斑変性症は、歳をとればかかるおそれのある病気です。 日本では加齢黄斑変性症を主とした黄斑変性症は視覚障害者の原因疾患の第4位です。この疾患の主な原因は、加齢や生活習慣の欧米化などです。 欧米では以前より主要な失明原因となる怖い病気として知られていましたが、日本でも高齢者の増加に伴って患者さんが増えています。 また喫煙者に多くみられることも報告されています。
視力を保つために早めに検査を受けましょう。
眼底にある網膜の状態を詳しく調べるために行います。 検査の前に目薬をさして瞳孔を開きます。 まぶしくて近くが見えない状態が約3時間続きますが、自然に元に戻ります。
眼底組織の断面の状態を詳しく調べます。網膜の浮き上がりや網膜のむくみ、新生血管などが観察できます。
腕の静脈に蛍光色素を注射してから眼底を調べます。 蛍光色素によって血管だけが浮き彫りになりますから、血管の弱い部分やつまったところ、新生血管がよくわかります。
レーザー治療法などもありますが、当院では患者様に負担の少ない抗血管新生薬療法(薬物療法) ルセンティスを採用しております。
ルセンティスとは、眼の中心窩に新生血管がある加齢黄斑変性の薬で、臨床実験での視力の改善効果があると認められた初めての薬です。ルセンティスは、脈絡膜新生血管の成長を活性化させる体の中のVEGF(血管内皮増殖因子)という働きを抑える薬剤であり、加齢黄斑変性患者さんの視力を安定化および改善することを目的として眼疾患専用に特化してデザインされたうえで開発され、製品化されました。ルセンティスは薬剤を眼の中に注射することによって加齢黄斑変性の原因である新生血管の増殖や成長を抑えることが可能な治療法ですルセンティスは、2006年6月に米国で加齢黄斑変性症治療剤として承認されて以来、現在までに世界の100以上の国と地域で承認されており、日本では2009年1月に承認されました。現在、ルセンティスは日本国内でもおおくの加齢黄斑変性患者さんに対して投与されており、治療を行うことによって多くの患者さんが良好な視力改善を認めている薬剤です。
ルセンティスによる薬物治療法は、導入期と維持期が異なります。導入期では月1本ルセンティスを眼の中心の「硝子体」という場所に注射を行います。これを3か月繰り返します。その後の維持期は毎月来院していただき、診察や検査で目の症状を見ながら必要に応じて注射をおこないます。
ルセンティスは世界で様々な試験が行われ、効果が実証された薬剤であり、国内の臨床試験でも視力維持、改善効果が認められた薬剤です。
副作用及び有害事象としては、眼痛、結膜出血、眼圧上昇、眼の異物感、目の充血、網膜剥離、硝子体出血、網膜出血、網膜裂孔、水晶体損傷、白内障、眼内の炎症、眼感染症、硝子体混濁、視力低下、飛蚊症、角膜炎、硝子体浮遊物などがあります。硝子体出血、網膜剥離、感染症などの合併症の頻度は非常に少ないですが、場合によっては、薬剤による治療、手術が必要になります。ごみのようなものが飛ぶ、充血、目が痛い、霞み、視力が下がった、というような症状に特に気を付けていただき、また、感染症の予防のために術前術後に抗生剤(菌を殺す薬剤)の点眼をしていただきます。
●:診療 ○:土曜日午前は13:00まで受付 ―:土曜日午後は休診休診日:日曜、祝日